サッカーファンならご存知かと思いますが、2017年、第97回天皇杯 全日本サッカー選手権大会2回戦にて、県1部リーグのいわきFCがJ1のコンサドーレ札幌に勝利したのです。
リーグでどのくらい離れているのかというと、県1部は、J1、J2、J3、JFL、東北1部、2部の下の「7部リーグ」です。カテゴリー的にみれば、奇跡的勝利です。
なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。
たまたま勝てた?いえ、違います。この勝利はいわきFCをサポートするスタッフの方々、選手の方々の努力があってこそ起きたものなのです。
いわきFCは日本人でも体を大きくすることはできる、即ち「フィジカルスタンダードを変える」ことをチーム目標に、多くの改革を行っています。
その一つに、日本サッカー界でもほとんど前例のない遺伝子検査を、全選手を対象として実施しました。ACTN3の遺伝子多型別に選手をグループ分けし、トレーニングメニューを組んだのです。
以下のコメントは、いわきFCをサポートしている株式会社ドームのDNS ZONEより一部抜粋したものです。
「選手の体質は遺伝子によって先天的に異なる部分が多くあり、選手それぞれの個別性に応じたトレーニングメニューを与えていく方針に変更しました。
遺伝子検査の結果に基づき、体質をRR(パワー系)、RX(中間系)、XX(持久系)の3パターンに分け、トレーニングメニューをパターン別に調整。骨格筋量の増加が少なかった選手には持久系タイプが数人いたので、彼らはウエイトトレーニングで扱う重量を減らし、代わりにレップ数を上げるなどを行ってみました。すると、全員ではなかったのですが、昨年1年間で骨格筋量が伸びていなかった選手の数値が、4カ月で平均0.6~0.7㎏増えた。(中略)
昨年ほとんど骨格筋量の伸びがなかったのですが、トレーニングを変えてみたところ、たった1カ月で骨格筋量が1㎏アップしました。チーム平均はそれほど上がらなかったのですが、明らかに伸びた選手がいた。これは驚きの成果でした」
スポーツ遺伝子は研究途上、かつ遺伝子への取り組みが全てではありませんが、たった1つの遺伝子多型でここまでの成果を出すことができた可能性があることは、とてもすごい事例と言えるのではないでしょうか。
他にもいわきFCはサプリメント面でのサポートや血液検査の細かいデータ取りなど、プロトップチームでも実施しているか分からないほどの充実した取り組みを行っています。その取り組みの積み重ねが奇跡の勝利を生み出したのです。
遺伝子により顔が皆違うように、遺伝子は少なからずスポーツ能力にも影響します。ACTN3だけでなく、より多くのスポーツ遺伝子を測定することでより多くのトレーニングメニューの可能性が見えてきます。チーム競技だから個人に見合ったトレーニングメニューを組むことは困難、と考える時代は近い将来無くなるのではないでしょうか。
オーダーメイド医療ならぬ、スポーツ遺伝子を用いた効率的なオーダーメイドトレーニングを行う時代はもう来ているのかもしれません。
セルズケア株式会社
スポーツ遺伝カウンセリング事業部
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